新聞×テレビ!? 高校野球の「次世代型メディア」が今夏誕生へ

昨夏はネットで中継動画を配信も、地上波も視聴率が向上

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「ユーザーファースト」の思いを語る朝日放送の中村氏(左)と朝日新聞の三橋氏(右)【写真:編集部】

「僕らは結局、ユーザーファーストですよ」と話すのは朝日放送の東京支社コンテンツ事業部コンテンツ事業課長の中村大輔氏だ。三橋氏と同様、高校野球の価値をさらに高めていくために、以前からコンテンツを充実させる必要性を感じていたという。

 コアなファンだけでなく、ライトなユーザーも取り込んでいかなければ、高校野球の熱は高まっていかない。視聴者との接点を増やすにはどうすればいいか。その試行錯誤の結果が、昨年の「バーチャル高校野球」へのチャレンジだった。もともと朝日放送は1998年から公式サイト上で高校野球のライブ配信を行っており、一昨年の大会でもPCで生中継を実施。昨夏、ついに携帯端末にまで範囲を拡大したのだった。

 地上波で中継している試合をウェブ上でも同時にライブ配信するという行為は視聴者の食い合いにつながるという見方もあり敬遠されがちだったが、今やインターネットの影響力を無視できない時代。1人でも多くのユーザーにコンテンツを届けるために新たな試みに踏み切った。だが、いざ始めてみるとそれらの懸念が杞憂であることも分かった。昨夏の大会期間中の「バーチャル高校野球」への来訪者はPC、スマートフォン、アプリを合わせて1000万を突破。閲覧数は実に6400万超にまで達し、大成功を収めているが、それと同時に地上波の視聴率も向上したのである。

 具体的な数字で見ると、関西地区平均でNHK5・9%、ABC4・1%で計10%と前年比で0・8%、前々年比で3%のアップ。関東地区でもNHKの平均視聴率が7・9%と前年比で0・4%増、前々年比で2・3増となり、視聴方法の選択肢が増えたにも関わらず、テレビとインターネットともに好結果を得ることができた。

 さらに球場自体の入場者数も、前年比で1000人減の計85万3000人だったものの、台風の影響で土日が予定よりも2日間少なくなったことを考えれば、実質増加と捉えてもいい数字となり、昨夏の甲子園はより多くのファンの注目を浴びる結果となったのである。

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