どん底から這い上がるソフトバンク細山田 「野球が出来ることが幸せ」

工藤監督との不思議な“縁”

 そして、この日の巨人戦だ。摂津の相棒を務めるはずの細川が首を痛めていたこともあり、工藤公康監督はじめ、首脳陣は細山田の起用を決断。チームメートのアクシデントが何度も重なる中で、横浜時代の2011年10月21日の阪神戦(甲子園)以来となる先発マスクの座が巡ってきたのだ。

 運命のいたずらか。09年4月8日の巨人戦(横浜)。細山田がプロ初先発のマスクを被った試合だが、この試合で先発マウンドに上がっていたのは、この日細山田の起用を決めた工藤公康監督だった。相手も同じ巨人。当時のことを「覚えてない」という指揮官だが、「あの時と近いくらいの緊張感でやったと思うよ」と笑った。

 1軍での安打も、打点も4年ぶりになった細山田。育成時代のことを「苦しいと思ったことはありません。どこであれ、どんな環境であれ、野球が出来ることが幸せなので」と振り返った。

 課題はある。投手にも責任があるにせよ、初回から3イニング連続で3つの盗塁を許した。序盤で2点を失い「失点を減らすことが仕事なので」と反省も忘れなかった。「ホークスに拾ってもらって、恩返しがしたかった」という細山田。第2の野球人生は、まだスタートしたばかりだ。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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