リーグトップの8勝&3完封 “黄金世代”大野雄大はなぜ覚醒したのか
最下位中日で奮闘、取り巻く環境も成長の糧に?
この指摘は結果にも表れている。昨年までのプロ4年間で大野は4つの完投を記録しているが、今季はシーズン半ばの時点でその数に並ぶ4完投。さらに、3つの完封勝利はセ・リーグ単独トップだ。
「バッターを見ながら、自分で組み立てることができる。配球だけでなく、相手との力加減や、状況に応じた投球など、ピッチングが上手くなりました。結果的に有利なカウントで投げられる機会が増えて、球数が減り、完投や完封に繋がっています
また、今季は結果がついてきていますから、精神的に余裕を持つことができますし、そうなると腕が振れて球のキレも増します。余計な力が入らなくなると、コントロールも向上する。いい循環で投げられていると思いますね」
ただ、所属する中日のチーム状態は決して良くない。バッテリーを組むキャッチャーも、谷繁兼任監督がマスクをかぶる機会は減っており、若い杉山や松井と組む機会も増えている。
それについて野口氏は「大野にとっては、谷繁さんに頼りきりだったところから、自分で考えて試合を組み立てるようになったことも大きなプラスになっていると思います。松井や杉山がマスクをかぶるにしても、彼らが谷繁さんを上回るリードをするにはまだまだ時間が必要ですし、大野は左のエースとして、強い自覚が芽生えてきていると思います。年齢的な部分、そしてチーム内での立ち位置など、環境が彼に与えている影響もあるのではないでしょうか」と語っている。
大混戦が続く今季のセ・リーグ。交流戦後、中日は上位から少し離されてしまっているが、ゲーム差はまだまだ小さい。“左のエース”大野は終盤戦に向けて、最下位に低迷するチームを引っ張っていくことができるのか。その存在がチームに与える影響は間違いなく大きい。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count