セパ“強みランキング”、各球団を支えてきたポジションはどこ?

パ・リーグは中堅手の2人がワン・ツー

○3位 オリックスの遊撃手 27.3(攻6.5、守20.8)

 守備で20点以上失点を減らしているとは感覚的に受け入れにくいかもしれないが、安達了一が広い範囲の打球をアウトにしているのは間違いないようだ。オリックスは遊撃手以外の内野守備が堅調ではないにもかかわらず、ゴロをアウトにした割合はリーグで上位。これは安達の働きによるものだ。ゴロをよく打たせることで知られるブランドン・ディクソンが防御率1点台をキープできている事態などは、安達の貢献の一端と言えるかもしれない

 攻撃力でも昨年以上のパワーを見せており、パの遊撃手としては十分なレベルといえる。大きな影響力を持つ価値ある選手に成長しつつある。

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ソフトバンク・柳田悠岐、西武・秋山翔吾【写真:編集部】

○2位 西武の中堅手 34.1(攻24.8、守9.3)
○1位 ソフトバンクの中堅手 34.2(攻32.0、守2.2)

 ともに今季成績を大幅にアップさせた西武の秋山翔吾、ソフトバンクの柳田悠岐が膨大なリードをチームにもたらしている。両者が平均的な選手に置き換わった場合、得失点差が30点近く失われると推定され、もはや順位を変えるレベルの影響力だ。西武は3強から脱落し、ソフトバンクは独走に近い状態をつくれてはいなかったかもしれない。

 それだけ影響力のある選手だけに怖いのはケガだ。後半戦離脱する場面が訪れれば、戦局を変えることにもなりかねない。

 全体を見渡すと、穴といえるポジションを抱えていたソフトバンクや日本ハムは、それを補って余りある強みを他のポジションで持っているとわかる。

 一塁手が弱点となっていた巨人も、捕手と遊撃手という強みがそれを打ち消し、他チームと対等に戦えている様子がうかがえる。

 DeNAは強みが一塁手、左翼手、右翼手と平均的に打てる選手がそろいやすいポジションに偏っているため、その能力が順位に直結していないようだ。

 また、田中や山田、安達や柳田といった新鋭が、いよいよペナントレースの行方を左右するレベルの影響力を持つ存在になりつつあることもわかる。NPBのパワーバランスは大きく変わりつつあるようだ。

(注)数値は各ポジションを守った選手の働きを得点換算したもの。攻撃、守備ともに各ポジションの平均的な成績をゼロとして、それと比べて何点マイナスを計上したかで表現している。なお、攻撃は試合が行われた球場の影響などを考慮している。守備は守備範囲と失策の評価に加え、内野手は併殺参加、外野手は走者の進塁を阻んだ程度、捕手はパスボールと盗塁阻止状況を考慮している。(成績は7月4日現在)

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DELTA●文 text by DELTA

DELTA プロフィール

DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta’s Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。最新刊『セイバーメトリクス・リポート4』を3月27日に発売。http://www.deltacreative.jp

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