なぜ何度も這い上がれるのか ヤクルト館山が1019日ぶり白星に秘めた思い
「何とか復活することが出来ました」、勝負に徹して掴んだ1勝
涙はなかった。1019日ぶりに勝利を挙げた男は、「館山コール」に包まれながら、最高の笑顔で神宮球場のお立ち台に上った。
「長かったですね。本当にすみません。遅くなりました!」
まずはファンへ感謝すると、続けてスタンドから見守った陽子夫人と長女の海音(かのん)ちゃんへ、こう言葉を紡いだ。
「僕以上に長い時間だったと思うんですけど、何とか復活することができました。ありがとう」
不屈の男、館山昌平がついに復活を遂げた瞬間だった。
7月11日のDeNA戦、神宮球場にはほぼ満員に近い3万1027人が詰めかけた。もちろん、お目当ては背番号25の2012年9月25日の阪神戦(神宮)以来となる勝利を見届けること。
そして、それは館山自身も同じ気持ちだった。
右肘じん帯再建手術からの復活登板となった6月28日の巨人戦(同)では制球に苦しみ、5回途中4失点。だが、このときはしっかり投げられたことが収穫だった。
「イベントは前回で終わっていた。勝負に徹しようと思っていました」