なぜ何度も這い上がれるのか ヤクルト館山が1019日ぶり白星に秘めた思い
館山が厳しいリハビリを乗り越えられる理由
それは自分自身が、ケガで苦しむ若い選手たちの道しるべになろうとしているからだ。
「たしかに全体練習が終わってから、2軍の室内練習場で1人で投げていたときは、『リハビリってしんどいな』と思いました。でもチームにも手術をしたけど、なかなか投げられない選手もいる。由規や杉浦もそうですけど、彼らに、しっかりとしたリハビリをすれば、1軍のマウンドに戻れるんだというのを見せたい。復帰できるというのを体現したいなと思ってやってきました」
この日のスタンドには、右肩手術からの復帰を目指す由規やリハビリ中の選手たちが駆けつけた。館山が投げた80球が、彼らの大きな希望になったはずだ。
再スタートを切ったばかりだということは、本人が誰よりも自覚している。今後も中10日以上を空けての登板となるが、自身もまだ経験したことがないリーグ優勝をつかむために全身全霊を注ぐつもりだ。
「僕にとっては、復活できましたが、あくまで通過点。今シーズンの優勝に向けて、そのために腕を振っていきたい。投げる試合は全部(白星を)取りにいくつもりで頑張っていきます」
頼もしすぎる男が、最高の投球で、高らかに復活を宣言した。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count