【高校野球】指導者であり教育者 横浜・渡辺元智監督が伝える言葉とは
多くの教え子から慕われる指揮官
この言葉は生徒たちが社会に出た後にも役立っている。多くの部員を持つ横浜高校野球部OBは、大会でベンチに入れずに高校野球を終えていく選手も多い。しかし、渡辺監督のもとには、何年経っても補欠だった選手から「食事に行きましょう」「お酒を飲みましょう」という電話が止まないという。高校時代に教わった数々の言葉が荒波を乗り越えるための精神を育んでいる。教え子たちも恩師に対する感謝の気持ちが強いのだ。
渡辺監督は、卒業していく選手たちにもう一言添えている。
「やがて、人生の勝利者になれ」
厳しい練習から野球をやめて故郷へ帰ると泣きじゃくる選手を、何度も説得した。時には自殺をほのめかすサインを出してきた選手を必死に止めて、卒業させたこともある。50年の指導歴は華々しいものだけではない。だが、変わらないのは生徒たちを愛する気持ちだった。
「野球では負けたかもしれない。でも、人生はまだまだ、終わらない。高校野球は2年半。その後の人生の方が長い」
最後の夏。渡辺監督から言葉をもらった沢山の生徒たちは当時のことを思い出しながら、母校の試合に思いを馳せる。輝かしい記憶だけではなく、多くの言葉もこれからも永遠に刻まれていくに違いない。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count