【高校野球】苦しんできた仙台育英のプロ注目選手 佐藤世と平沢は甲子園で復活するか

宮城大会は成績が悪い中でチームに貢献した平沢

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仙台育英・平沢大河【写真:高橋昌江】

 夏の大会前の7月4日、最後の練習試合が平沢にとっての復帰戦になった。大きなライトフライの後、ライトにホームランを放ったが、感覚が戻ったわけではない。その上、大会では執拗にインコースを攻められた。苦手なわけではないが、腰を引いて避けなければならないボール球が多かった。

 初戦(2回戦)の第1打席の初球は背中を通るボール球。第3打席では、内角に3球、ボール球が続いた後の4球目を弾き返し、ライトへ2点タイムリーを放った。3回戦では第1打席と第3打席に犠牲フライを放つと、第4、5打席は四球で歩いた。

 準々決勝は2四球の後、センター前にタイムリーヒットを放ち、最終打席では犠牲フライと勝負強さを発揮した。準決勝は5打数無安打だったが、決勝では本来の姿に近づいた。2打席目は記録上、ライトファウルフライながら、インコース低めをジャストミートで救い上げ、フェンスギリギリまで飛ばした。そして、3打席目。それまでは逆方向へ強い打球を飛ばせていなかったが、久しぶりに左中間を割る打球を放った。

 心配な打率ではあるが、四球が多かったり、ヒットにならなくても犠牲フライで打点を挙げたりと、内容が悪かったわけではない。「大暴れ」するような活躍はなくても、チームに貢献した。広い範囲をカバーする守備、判断力が光る走塁も試合を重ねるたびに本来の姿に近づいてきた。

 そして、佐藤世同様に宮城大会から甲子園にかけて時間があったことで、冷静に見直すことができた。

「大会中は(ボールの)上から打ち過ぎていました。先生(佐々木監督)からボールをライン(軌道)で打つようにと言われて意識してから、いい感じです。甲子園でもこの感覚を続けたいです」

 平沢以外、仙台育英の野手は打率が3割5分を超えている。さらに平沢が打率を上げてくれば……。

 2人のプロ注目選手が牽引する仙台育英は、大会第4日の第4試合で明豊(大分)との初戦を迎える。

【了】

高橋昌江●文 text by Masae Takahashi

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