斎藤佑樹はなぜ“寵愛”を受けるのか 栗山監督が右腕にかける理由とは?
与えられるチャンスには限度がある
まだ27歳。されど、プロ5年目。最後は結果がものを言う世界だ。新たな戦力は日々、力を蓄え、出番を虎視眈々と狙っている。チームメートも、もちろんライバル。与えられるチャンスには限度がある。
高校、大学で、いずれも頂点を極め、アマ球界を席巻した。一転、プロ入り後は何度も苦杯をなめた。その“高低差”からくる屈辱感は計り知れない。煌びやかなスポットライトに照らされ続けてきたステージ。それが突然、暗闇に覆われた。自分を見失ってしまっても仕方がない。誰よりも本人が一番、もがき苦しんだはずだ。それでも常に毅然とした態度で大衆の前にその姿をさらしてきた。
アンチも含め、ファンは圧倒的多数。野球好きでなくとも「佑ちゃん」の知名度は絶大だ。それこそがスターの証。今度こそ、完全復活へと確実につながる足跡をマウンドに刻み込んでほしいところだ。
早実の後輩たちが甲子園で初戦を戦う8日。斎藤佑樹も本拠地・札幌ドームで先発マウンドに上がる。チームに、そして自らに、強烈な追い風を起こすことができるか――。
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J・T●文 Text by J・T