移籍直後の輝きとその後の転落 復活期す広島・一岡が内に秘める思い
シーズン前の高評価を裏切る“戦犯”も、挽回のチャンスは残されている
おそらく何度も聞かれただろうと思われるその問いに対して、一岡は「昨年もいい時はあの1か月半だけだった。その時も特別に状態がいいというわけではなかった」とやや強めの口調で答えた。さらにその後の不振で「逆に勘違いしなくてよかった」と、自らを諌めるように言った。
現在、勝ちパターンの継投では、ヒースからセットアッパーの大瀬良、最後は中崎という形が確立されつつある。一岡はまだその中には入っていないが、畝コーチが「将来的には後ろの重要なポジションを任せられる存在」というように、単なるブルペンの一人、という投手ではない。
そもそも、先発要員だった大瀬良がリリーフに回らざるを得ない状況になったのも、一岡の不振が大きな要因であることは間違いない。シーズン前半には盤石と言われた先発陣だが、大瀬良が抜けたダメージは決して小さくない。そんな状態の中、再び一軍に戻ってきた一岡が果たすべき役割は、チームの今後を左右するものとなるはずだ。
8月に入っても、いまだチームは勝率5割に届かない状態だが、幸いなことに、今季セ・リーグは未曾有の混戦状態が続いている。一岡の活躍で初戦を取った巨人との3連戦で、チームは実に10年ぶりとなる東京ドームでの同一カード3連勝を記録し、優勝争いに生き残った。ここまではシーズン前の高評価を裏切る“戦犯”の一人となった一岡だが、まだまだ取り返すチャンスは残っている。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count