【小島啓民の目】早実・清宮、九州国際大付・山本に見る時代の流れと日本野球の未来
早実‐九州国際大付戦にも注目、早稲田大OBの監督対決に
昔はポーカーフェイスが良い投手の条件と言われたものです。マウンド上で表情を変えると打者に心理を読まれることになる。淡々と投げることが、いわゆる好投手と呼ばれる条件だったわけです。
今は、ニコニコ笑いながら楽しそうに投球をする選手が多くなってきました。無表情で淡々と投げるより見ている方からすると楽しさが伝わってきて、それ自体は悪いことではないと思いますが、それだけにいかにピンチの時にその心理状態を続けることができるのかということが課題でしょうね。開き直れと言われても、そう簡単に気持ちを切り替えるのは簡単ではありません。「抑えなければ」と思えば思うほど、慎重になりすぎて、逆効果になる場合もあります。
そういった場面を迎えた際には、「自分が一番下手くそなんだ」と思うこが対処方法の一つです。
抑えるか、打たれれるかは「投げてみないと分からない」ものです。色々考えるよりも、「自分が一番下手くそだから上手くいかなくても仕方ない、自分のベストプレーを心がけよう」とプレーに集中することで、投手であれば腕が振れ良いボールが投げられるようになります。よく「生きた球」と「死んだ球」というような表現が野球界ではなされますが、球に命を吹く込むという解釈でしょうから、リリース時に迷いなき心でボールを放すことができるか否かが重要ということになるのでしょう。
今年の夏の甲子園、残ったチームは、すべて良い打線を抱えています。立ち向かっていく投手には、非常に辛い状況ですが、是非、生きた球で勝負をして欲しいと思います。
それと先日、早実の清宮が本塁打を打ちました。次の九州国際大学付属との試合は、早実・和泉監督、九州国際大付属は楠城監督と早稲田大OBの監督対決となります、父親が著名人の清宮、山本の対決も見どころとなるのでしょう。猛暑続きですが、連日、毎試合、観客が入っているように感じます。日本人は、高校野球が大好きなことを改めて実感しました。
【了】
小島啓民●文 text by Hirotami Kojima