監督も本人も“予想外”のノーノー達成 岩隈久志がこだわる投球スタイル
監督も予想していなかった岩隈のノーヒットノーラン
エース右腕でノーヒットノーランの経験があるヘルナンデスが候補に挙がることは満場一致の意見。その名前に加えて、監督は「クマではなくウォーカーと言っていただろう」と明かしている。
なぜ岩隈の名前は挙がらないのだろうか。それは、岩隈が豪速球で三振を積み重ねるのではなく、投球術で打たせて取るタイプのピッチャーだからだろう。打たせて取るピッチャーの場合、打球をヒットにしないためには、守備のバックアップが重要な意味を持つ。たとえ打ち取った当たりでも、野手の動き次第では安打になりかねない。
「僕もノーヒットノーランができるとは思っていなかった。本当に、させてもらった(という気分)。チームのスタッフだったり、選手だったり、ファンだったり、家族の支えだったりに感謝したいと思います」という岩隈自身の言葉どおり、全員で手に入れた快挙だった。
時速93マイル(約150キロ)以上の速球は珍しくないメジャーの中で、速球の平均時速が90マイル(約145キロ)前後の岩隈は、いわゆる軟投派だ。スピードやパワーが偏重されるメジャーの中で、制球力や配球の妙で打者を封じ込める投手の陰は霞みがち。それでも「試合に投げていくたびに一つ一つアウトを重ねていくって思いでやってきた」という努力は報われた。
試合後に自分のスタイルについて問われた岩隈は、胸を張って言った。