【高校野球】ただの控えと侮るなかれ 今夏の甲子園も証明、ランナーコーチャーの重要性
強豪校支えたランナーコーチの判断、二塁からタッチアップで一気生還も
ベンチを飛び出し、全力で自分の持ち場へと走っていく。9人の先発メンバーに限ったことではない。ランナーコーチャーを任される選手も同じだ。今年の夏の甲子園、決勝戦を戦った両校も彼らの存在がなければ、ここまで成績は残せなかっただろう。レギュラーと同じ価値のあるプレーで、決勝まで勝ち上がったチームを支えていた。
「踊るコーチャー」の異名を取った仙台育英の佐々木啓太選手は昨年の秋から三塁コーチャーを任された。
「自分が踊って、試合中にチームの雰囲気がよくなればいいと思ってやっています」
両手を横に振ってみたり、ボディビルダーがするようなポーズをとってみたり、小刻みにリズムに乗ってみたり……。時にはアルプス席から「啓太コール」が起きるなど、注目を浴びた。決勝戦でも変わらぬパフォーマンスを披露。明るさだけでなく、体全体を使って走者を誘導し、たくさんの得点につなげた。
東海大相模は石川和樹選手が三塁コーチャーを務めた。全国屈指の攻撃力を誇った優勝校は、神奈川県大会から1本の単打で二塁からホームに生還するシーンが多く見られたが、石川の判断による部分も大きかった。
仙台育英戦の9回には二塁走者がライトフライで一気にホームへタッチアップするシーンがあったが、その場面で石川の腕はぐるぐると回っていた。同じ1本のヒットでも腕を回す時と回さない時の判断は絶妙だった。