ソフトバンク松坂大輔、手術決断ににじむ復活への思い
松坂の復帰への思いがにじむ決断
ここからは苦しいリハビリ生活が続いた。キャッチボールは行っていたものの、遠投、ブルペンでの投球練習という段階を上がることは出来なかった。右肩痛や、力がうまく入らないなどの症状が出ていた。福岡・西戸崎でのリハビリ組を離れ、都内の治療院を訪れて回復を目指したが、良化せず。さらには周囲からの評判を聞いては、全国の病院、治療院に赴き、必死に快方への道を探っていたという。
8月も半ばに入った、この時期での手術の決断には、松坂の復帰への思いがにじむ。おそらくは、このままリハビリを続けていても、復帰への道筋が見えなかったのだろう。このままでは、いつまでも投げられないかもしれないし、来季も再来季も棒に振ってしまうかもしれない。
全治6か月ならば、来季の開幕に間に合うギリギリのタイミングだ。仮にリハビリ期間が長引いたとしても、来季中には復帰出来る。自身に期待してくれた球団に、ファンに報いるためにも、手術というリスクを覚悟の上で復活の可能性を追い求めたのだろう。
松坂に対して、周囲から批判的な声も数多く聞かれる。ただ、忘れてはいけないのは横浜高校での甲子園春夏連覇や、プロ入り後の実績、WBC連覇と2大会連続のMVPなど、数々の興奮と感動を、松坂大輔という男が我々にもたらしてくれたということ。間違いなく、日本球界の功労者なのだ。
そんな男が選手生命に関わる右肩の手術を決断し、復活にかけた。34歳の決断。ここからのリハビリは、さらに長く苦しいものになるだろう。それでも願いたい。もう1度、マウンドであの雄姿を見られることを。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count