自己最多の白星積み上げる広島・福井 5年目右腕を覚醒に導いた黒田の言葉

尊敬するメジャーリーガーからもらった自信、「投げる球、エグいな」

 そして迎えた今季。先発ローテの一角として開幕1軍を果たしたが、黒田博樹が復帰し、新外国人のジョンソンが加入した先発陣は、近年になく充実した布陣となった。福井の評価はあくまで「6人目の先発」。そのため、4月の登板は2試合のみに終わったが、初登板が6回2失点、2戦目は7回無失点で勝ち投手となり、結果は残した。

 初勝利の試合後、報道陣に囲まれた福井は「僕は6番目の投手。悔しさがないわけではないが、与えられた場所でしっかり仕事をするだけ」と殊勝なコメントを残したが、その言葉の裏には、前年までにはなかった自信のようなものが感じられた。その自信の裏付けとなったのが、「あんな投手になりたい」と公言する、今季カープに復帰したメジャーリーガーの言葉だった。

 春季キャンプのブルペンで福井の投球を見た黒田は「お前、ほんまええボール投げるな。投げる球、エグいな」と声をかけた。さらに黒田が今でも先発の時は緊張する、という話を聞き、「あのレベルの投手でもそうなのか」と気持ちが楽になったという。

 福井について「昔の自分とダブる」という黒田の言葉が、伸び悩む大器に自信と余裕を与えた。フォアボール1つで「ヤバい、ヤバい」となっていた気持ちが、「試合を作ることだけを考えて、気楽に」投げられるようになった。課題だった制球力への不安は、ほとんど見られなくなった。与四球率は、プロ5年目で初めて3点台まで下がった。

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