【小島啓民の目】ネット裏から見えた高校日本代表の課題 世界を勝ち抜く選手になるために

1人だけ力負けをしていないオコエ

 使用バットが木製バットということで日頃、金属バットに慣れている日本選手は、その対応に苦慮している感も否めません。アメリカをはじめ、世界大会に出場してくるようなチームの投手が投げるボールは、高校生レベルと言えども140km~145km程度のスピードレンジが、もはや当たり前という状況です。しかも長身の選手が多い、中南米やヨーロッパの投手の投球角度の違いに日本打者も戸惑っていることでしょう。

 まだ18歳以下ということもあり、スピードはあるがコントロールが今一つという相手投手が多く、その点で助かっているという感じです。これは色々な国の野球を見てきた経験からバッティングそのものは日本と海外の国とでは考え方の違いを感じています。

 打撃練習を見ましたが、後ろ足を軸足として出来るだけ投手方向に大きく動かないようにして、回転しながら打つということを心がけているアメリカや中南米の選手と、投手方向に大きく重心を移しながら打つ日本選手とでは対照的です。実際、試合でもファールを打った際に大きく違いが表れます。

 思い切り振ってファウルするアメリカ、中南米の選手に対して、崩れながらでも際どい投球をカットする日本打者のように……。投手目線の感想では、2ストライク後にワンパターンでスイングし、三振となるアメリカ、中南米選手に対して、簡単に打ち取られず、しつこい日本打者といった印象です。実際、日本打者は四死球を本当に良く得ています。

 ただ、打球が遠くへ飛ばないという印象は持ちました。そのようにアメリカチームのコーチのコメントも直接聞きました。少しずつ外野の守備隊形が前に取られ始めてきている印象です。

 以降の試合は、ワンヒットでホームへ還るという機会が減ることになり、得点をするのがなかなか難しくなるでしょう。

 その中で、1人だけ力負けしていないのは、オコエ瑠偉外野手(関東一)。下半身のスピードを感じ、力強く、打球も速いので、第1ラウンドでは主にリードオフマンとして出場していましたが、非常に期待できるなと感じました。

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