地区優勝目前のメジャー球団にまさかの非常事態 “目に見えない敵”の恐怖
ロイヤルズはゴームズ獲得で対応、他球団も各選手に調査へ
水痘・帯状疱疹ウイルスは、非常に感染力が高く、簡単に経口感染するウイルスだ。リオスからヘレラ、もしくはヘレラからリオスへ感染した可能性は高い。そこで、ロイヤルズでは選手とスタッフ全員に、これまで水疱瘡に罹った経験があるか、ワクチンを受けた経験があるか、急きょ調査を行い、さらなる感染拡大防止に取り組んだ。
球団公式ホームページによると、先発クリス・ヤング、右腕エディンソン・ボルケス、左翼アレックス・ゴードン、外野ジョニー・ゴームズ、捕手サルバドール・ペレスは、いずれも幼少期に罹患した経験があり、現在、米国市民権取得の手続きを行っている遊撃アルシデス・エスコバルは2週間ほど前に予防接種を受けたばかりだったという。
地元メディアに対応したデイトン・ムーアGMは「最初に報告を受けた時は、『おいおい、今は2015年だぞ』と思ったよ。水疱瘡に悩まされるなんて思ってもみなかったからね」と話したというが、おそらくこのニュースを聞いた全員が同じようなリアクションを取っただろう。
リオスの復帰時期が見込めなかったロイヤルズは、トレード期限だった8月31日にブレーブスから外野ゴームズを獲得して対応。笑い話では済まされない影響が生じている。2選手ともに、すでに症状は回復の傾向を見せており、予測以上に早い戦列復帰の可能性はあるという。
この一件を受けて、メジャー各球団では選手に水疱瘡罹患の有無をすぐさま確認したそうだ。今年アメリカでは各地で麻疹(はしか)の流行が確認されている。こちらも大人が感染する可能性は十分ある病気だそうだ。子供の病気だと早合点して侮ると、痛い目に遭うことになりそうだ。
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佐藤直子●文 text by Naoko Sato
佐藤直子 プロフィール
群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。