イチロー所属のマーリンズも混沌…メジャーで激変の様相呈する球団GM職
監督の選定に影響も…球界再編の様相
GMよりも上の階級での変化もある。レッドソックスは、タイガースのGM職から解任されたばかりのドンブロウスキー氏を編成本部長として招聘。カブス球団社長やオリオールズGMを歴任したアンディ・マクフェイル氏は、今季限りで勇退するフィリーズのパット・ギリック球団社長の後任に決定している。さらに、インディアンス球団社長のマーク・シャピーロ氏は、今季終了後にブルージェイズの球団社長に就任することが発表されている。文字どおり、球界再編の様相だ。
トップが変われば、往々にして現場の指揮官も替わる。暫定監督が率いているマーリンズ、フィリーズ、パドレス、レッドソックス、ブルワーズはもちろんのこと、前述の新GM就任が予測されるチームも新監督を迎える可能性は高いだろう。
残念ながら、今季は日本人選手でプレーオフ進出の可能性が高いのは、ヤンキースの田中将大くらいだろう。ジャイアンツの青木宣親は、8月終盤から9月初旬にチームが大失速したことに加え、本人も脳震とうの後遺症に悩まされる不運。ブルージェイズには川崎宗則、カブスには和田毅がいるが、いずれもプレーオフに出場できる25人枠に入る可能性は低い。
その一方で、今季オフにはイチロー(マーリンズ)、岩隈久志(マリナーズ)、和田毅、川崎宗則がフリーエージェントになる予定だ。これまで日本人選手になじみ深かったチーム、あるいは縁のなかったチームでも、トップが変われば傾向は変わる。彼らが来季どのチームでプレーするかを占う上でも、ペナントレースの影に隠れたフロントオフィス交代劇に注目しておいて損はない。
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佐藤直子●文 text by Naoko Sato
佐藤直子 プロフィール
群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。