6年ぶりの2軍V 巨人・岡崎郁監督が自身に課したもの
岡崎監督が自らに課したもの
その中でも勝利にこだわった。ファームの一番の目的は選手の育成で優勝ではないという考えもあるが、岡崎監督は自分に「優勝」を課した。
勝負の世界では勝たないと本当の強さは生まれてこないと判断したからだ。昨年は7チーム中、6位。リーグワースト記録の14連敗に到達する勢いで負けが続いた。大型連敗は13で止まったが、傷跡は深かった。だからこそ、今年は春先から勝つことを厳命し、連勝に連勝を重ねていった。
勝ちながら、選手も育てた。今、1軍で活躍する立岡宗一郎外野手が好例である。「1軍で1番に定着するバッターがいなかった」と岡崎監督はシーズン中盤を見据えて、立岡を1番で起用し続けた。投手育成は基本的には尾花2軍投手総合コーチに委ねてはいるが、ベテランの選手たちには叱咤激励を繰り返し、モチベーションを保たせた。
例えば、昨年FAで広島から加入してきた大竹寛。長い期間、不振で2軍調整をし、このままシーズンが終わるのではないかと見られていた、しかし、オールスター明けに岡崎監督は「これからローテーションで大竹が入らないと1軍は苦しくなる」と予言。実際に8月中旬からローテに戻り、2連勝するなど、微力ながら戦力になった。
「いい時に比べればまだまだだが、良くはなってきている。32歳の完成度を求めるのか、自分が良かった若い時のピッチングを求めるのか……。もう25歳の時には戻れない。今できる完成形を求めるべきではないのか。日々、体は変わっていくのだから」
岡崎監督は大竹をそう評し、奮起を促した。そして1軍へ再び、送り込んだ。