和田&小笠原はなぜ引退? 打者として一時代築いた落合GMと両選手の決断
世代交代に踏み切ることが予想される中日
落合GMは、2人の名球会プレーヤーの数字に表れない葛藤を見抜いていたように思える。自身も現役時代、43歳を迎えるシーズンだった1996年に打率3割1厘の好成績を残した。だが、オフに清原和博の入団が決まると、出場機会を求めて巨人を退団。日本ハムに移籍したが、故障の後遺症や衰えもあって不本意な成績に終わり、2年間で現役生活に幕を閉じている。
球界最年長選手の山本昌投手も引退を表明し、中日は来季、選手兼任から専任となる谷繁元信監督の下、思い切った補強や世代交代に踏み切ることが予想される。ベテランの2人にこれまでのような働き場所があるのか、思うようなプレーができるコンディションにあるのか。GMとしてチームの未来像を描いた時、自身の姿に重ね合わせ、引き際を示したというのは考えすぎだろうか。
もちろん、2人とも構想外とする球団側の方針に対し、他球団での現役続行という選択肢も残されていた。獲得に乗り出す球団もゼロではなかっただろう。それでも自らユニホームを脱ぐことを決断したのは、通告する側とされる側の価値観に大きなズレがなかったことを証明している。
ともに打者として一時代を築いたGMと選手。今回の引退劇は、これまでの球界にはなかった両者の関係性が導いた新たな形ではないだろうか。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count