【パ覇者の強さを検証する(下)】常勝の礎に―パ連覇に導いたホークス工藤監督が就任1年目から出した「色」
投手起用にも“工藤色”、「60試合は投げ過ぎ」
主だったところで言えば、細川亨、本多雄一、大隣憲司、エディソン・バリオスといったところ。細川はキャンプ中に親指を骨折し、シーズン中に右太もも裏の肉離れ。本多は試合中に右足を捻挫、大隣は左肘の違和感(のちに遊離軟骨除去の手術を受けた)、バリオスは右肩の疲労だった。骨折などはプレー中に起こることで完璧には防ぎようがなく、肉離れなど筋肉系のトラブルもほとんど起きなかった。大きな戦力の変動なく、安定した戦力で戦い抜けた。
コンディション管理と関連し、投手起用にも「色」が出ていた。
今季137試合を終えたが、とにかく先発投手の登板間隔を詰めなかった。中4日での先発はその前回登板が中継ぎだった5月24日の日本ハム戦(札幌)での寺原隼人だけ。中5日での登板も、大隣と武田、スタンリッジが2度、摂津とバンデンハークが1度と、8回しかなかった。シーズン終盤に疲労が溜まらないように、ローテーションを回してきたことが分かる。
リリーフ陣においては登板過多による疲労の蓄積を最も危惧していた。セットアッパーを務める森唯斗が53試合、五十嵐亮太は51試合に登板。「60試合は投げ過ぎ」という指揮官の考えがあり、シーズン序盤から登板数を調整しながら戦ってきた。
守護神のサファテだけが例外的に63試合に投げているが、89勝という勝ちゲームの多さから言えば、致し方のないところ。今季初黒星を喫した9月22日の日本ハム戦(札幌D)以後は、疲労除去を考慮してマウンドには上がっていない。連投も3連投以内にとどめ、3連投した投手は翌日を「上がり」に設定し休ませるなど、調子を落とさないように心がけてきた。