【小島啓民の目】脱落したDeNAにあった状況判断のミス スコアボードを見ることの大切さ

いくら凄い選手でも、自分では想定外のエアポケットに陥ることがある

 一方、投手も、このように追い込まれた場面では、捕逸もリスクとして考えるべきで、低めにボールを投げる場合は、細心の注意を払うべきでした。ワンバウンドを投げるにしても「ホームプレートを外れるような球だけは絶対に投げてはいけない」と強く意識を持つ必要がありました。おそらく捕逸という結果を全く想定していなかったと思います。

 プロの試合など、何度も試合を重ねていると、慣れからか注意が薄れるのは仕方がないことかもしれません。ただ、勝つチームと負けるチームの差はこのようなところに出てくるものです。ここで、私が大事になってくると思うのは、スコアボードを振り返ること。当たり前ですが、イニング、アウトカウント、打順、得点差など今の状況が把握できます。

 緊迫する場面、緊張する状況においては、いくら凄い選手でも、自分では想定外のエアポケットに陥るということがあります。だからこそ、しっかりと状況を頭に入念に確認し、しなければいけないプレーを決断し、それに終始することが必要です。

 例えば、伝令です。甲子園でピンチの時、マウンドに選手が集まり、監督からの指示を共有している場面があります。できれば、この指示を共有した後にもう一度、スコアボードを見て状況を確認する行動を加えることで監督からの指示が深まります。

 以前、甲子園大会をテレビ観戦していた時、1死一、三塁というサヨナラ負けのピンチを迎えた場面がありました。守備側は、タイムを取って布陣を確認し、当然、内野手、外野手もバックホーム体制の前進守備を引きました。その後、前進守備をしている二塁手のやや横に打球が飛びましたが、上手く捕球しました。三塁走者はスタートを切っていたため、誰もがバックホームをすると思いましたが、一塁へ送球してしまい、サヨナラ負けを喫するという幕切れとなりました。

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