カージナルス、強さの秘密―目の肥えたファンと生え抜き中心のチーム作り
レギュラーシーズン100勝&5年連続PO進出、強さ際立つカージナルス
メジャーリーグはポストシーズンに進んだチームによる白熱した戦いが繰り広げられている。その中で、カージナルスはレギュラーシーズン100勝をマークし、ナ・リーグ中地区を制覇。5年連続でプレーオフに駒を進めた。2000年以降の15年間でプレーオフ進出は12度目。この間、ワールドシリーズを2度制し、ポストシーズン常連の地位を固めてきた。
○先発陣が奮闘、5投手が2桁勝利
開幕前に苦戦が予想された今季も2005年以来のシーズン3桁勝利を記録した。オフに有望株でレギュラー定着が期待されたオスカー・タベラス外野手が事故で死去するアクシデントに見舞われた。悲しみに包まれたまま迎えた開幕直後に、エースのアダム・ウェインライト投手がアキレス腱を断裂。中軸のマット・ホリデー外野手、マット・アダムス一塁手、セットアッパーのジョーダン・ウォルデン投手ら主力選手が次々と故障で離脱した。
そんな中、適材適所の起用で積み上げた数字だけに価値がある。有力なサイ・ヤング賞候補や最優秀選手賞(MVP)候補は見当たらないが、先発陣は5投手が2桁をマーク。チーム防御率は30球団で唯一の2点台という投手陣の奮闘が大きかった。また、スティーブン・ピスコッティ外野手、トミー・ファム外野手ら実質1年目の若手が穴を埋める働きを見せて貢献した。
○強さの秘密は生え抜き中心のチーム作り
常勝球団を築き上げていく間も選手の顔ぶれは常に変化してきた。それでもチーム力を維持し、毎年優勝争いに絡んできた強さはどこにあるのだろうか。16年間、カージナルスでコーチを務めるホゼ・オケンドー内野守備コーチは「GMやスカウトはチームに合った人材を見つけ出すことに長けている。マイナーで育てた選手でチームを作る方針が明確だ」と分析する。
地区シリーズで出場登録された25人中17人が自前で育てた選手。野手ではヤディーナ・モリーナ捕手やマット・カーペンター三塁手といった核となる選手がリーダーシップを発揮。投手陣ではアダム・ウェインライト投手を軸に、マイケル・ワカ投手やカルロス・マルティネス投手らが主戦投手に成長した。
2011年オフに長年主砲として活躍したアルバート・プホルス内野手がFA移籍した際もマネーゲームとは一線を引いた。生え抜きの選手を育て上げ、FA選手で脇を固めるチーム作りに徹したことが、地方球団でありながら長年バランスの取れた布陣で強豪チームとして君臨している所以だろう。モゼリアクGMが就任して以降、8年間で6度ポストシーズンに進出しているのも、一貫したチーム作りが成功している証拠だ。