カージナルス、強さの秘密―目の肥えたファンと生え抜き中心のチーム作り
1試合平均43468人、37試合で満員に、「選手にとっては大きなモチベーション」
また、オケンドーコーチは「ファンの視線を常に感じながらプレーすることも選手にとっては大きなモチベーションになる」と環境面の好影響も指摘する。
今季は1試合平均43468人を動員し、37試合で満員となった。ナ・リーグ2位の観客動員数を記録し、12年連続で年間300万人以上を動員した。今季、マーリンズのイチロー外野手が敵地のカージナルス戦でタイ・カッブの通算安打数を日米通算で抜いた際、スタンディング・オベーションを浴びて感動していたように、セントルイスには目の肥えたベースボールファンが多い。単に騒ぎたてるだけでなく、試合の流れの中で重要なワンプレーに注目し、反応する。
長年チームを陰で支えるオケンドー氏はセントルイスの本拠地で一際大きな声援を浴びる。スタンドのファンから応援ボードを掲げられるコーチがいるのは、カージナルスくらいのものだろう。
10月のセントルイスではプレーオフ進出を祝して市内中心部にある噴水がチームカラーの赤に染まる。それが毎年恒例になりつつある。カージナルスファンで埋め尽くされた球場が揺れるほどの大歓声に包まれたとき、常勝軍団の強さがはっきりと浮かび上がるのだ。
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伊武弘多●文 text by Kouta Ibu