「山田キラー」となれるか 巨人、魅惑のサイドスロー・田原誠次の未来図
重圧の中での登板で偏頭痛が生じる日も
優勝争いをする8月の終わりに再び1軍のチャンスがやってきた。復帰初戦の同25日のヤクルト戦こそ、本来の力を発揮できず、2失点したが、同30日の中日戦でリリーフで3年ぶりに白星をつかむと、好リリーフを連発。山口、マシソン、澤村につなぐリリーバーへの信頼をつかんでいった。
最後に失点して以降、ヤクルト戦では6試合に登板し、無失点。特に山田に対して、強さを発揮した。前述した2失点は実は山田に浴びた2ランだった。苦い記憶を糧にした。
「いいバッターですが、守りに入ってはいけない。カウントが不利にならないようにまずは1ストライク1ボールにすることを心掛けています」
安易にストライクをとりにいくのではない。対戦で積み重ねたデータを頭に入れながら、振ってくると思えばボール球でつり、カーブやシンカーと思わせて裏をかいてストライクゾーンへ直球を投げたり、平行カウントから勝負に挑んでいる。山田の怖さを肌で感じたからこそ、学ぶことができた。
CS最終ステージ初戦に続き、第2戦でも対戦。3打数2安打と調子をあげてきた山田の4打席目、7回で対戦した。まずは1ストライク1ボールにして、7球目、最後は緩いカーブでサードゴロに仕留めた。CSでは田原誠の“2戦2勝”である。
重圧の中での登板が続き、偏頭痛がする日もあった。ただ、つかんだチャンスを自らの手で放すわけにはいかないと懸命に戦ってきた。ポストシーズンでも貴重なセットアッパーとして戦っている田原誠次は、来年は開幕から勝利の方程式に入る存在となっていることだろう。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count