“レジェンド”山本昌、独占インタビュー(上)激白「来年は5勝はできた」
最後の5年は「野球人生の中で一番充実した時間」、いまだ「体も気持ちも万全」
――チームメートだった山崎武司さんは、楽天時代から「昌さんが辞めるまで辞められない」とおっしゃってました。そういう選手も先に辞めていく中で、モチベーションは保つことは大変でしたか?
「山崎が辞めたときは寂しかったですね。あの年、まだシーズン中の6月か7月に彼から電話かかってきて『僕辞めますわ、山本さん』と言われて。『どうしたの? 何をヤケになってるの? もうちょっと冷静に考えな』って言ったんです。でも、そのまま引退しました。ああやって彼が電話してきてくれたので、僕も今回、報道で出る前に彼には早めに電話して、『辞めるわ』って伝えました。
山崎は『マジですか?(来年も)やるもんだとばかり思ってました』とビックリしてましたけどね。ドラゴンズをずっと引っ張ってきた仲間の中では、山崎が一番最後まで現役やりましたので、(辞めた時は)寂しかったです。僕は最後まで本当に周りのみなさまに励まされて、ここまでやってこられました。でも、ドラゴンズを長年引っ張ってきたと自負している人間としては、離れるのは寂しいですよね、やっぱり」
――プロ初勝利から5勝を挙げて日本シリーズでも投げた88年はもう27年前になります。
「あの時のことを考えると長かったなと思いますよね。88年の日本シリーズは昔だな、あれからいろんなことがあったなと。自分で長いな、と言えるくらい長い。よく言われるんです。『小学生の時に応援行きました』とか。そういう方が、今は40歳とかになってらっしゃいますもんね。そういう方たちから応援してもらえることが本当に励みになりました。
山崎とかが辞めて僕1人になったので、報道の方からも『励みになります、と言うファンがいます』と聞かされてきましたけど、逆に自分がそれを励みにして、『これだけ期待されてるんだから、自分が頑張らないとどうするんだ』と、そういう思いでやってました。最後の5年くらいは自分の野球人生の中で一番充実した時間というか、成績的にはまったく充実してないんですけど、野球選手としては一番、一生懸命やったなと思うんです。体中にアンテナを張り巡らせて、野球の調子を上げるためだけにやっていた。
ただ、僕の中ではこの5年は変わっていない。変わってないから、やっぱり勝てるはずだと思ってやってました。(引退するのは)残念といえば残念です。来年やっても、多分変わってないと思います。調子が良ければ、5勝くらいするチャンスはあったと思います」
――まだ体は万全ということですね?
「体も気持ちも万全ですね。全然、出来るつもりでいます。ただ、みんなそういう思いをして引退していると思います。もちろん、ほとんどの選手が球団から『もういいよ』と肩を叩かれて辞める中で、自分で決断させていただけるような立場になった。こんな幸せなことはない。そういうことを選べるのは、100人に1人くらいの感じだと思ってますから、そういう中で本当に幸せだったなと」
フルカウント編集部●文 text by Full-Count