ホークスCS圧勝のターニングポイントは？　勝利導いた2人の立役者

ロッテの勢いを止めた一打

　その直後だ。3回のソフトバンクの攻撃。1死二塁から、柳田悠岐が空気を一変させる本塁打を放った。1ボールからの2球目。大嶺祐太が投じたストレートが、ど真ん中へ入ったのを逃さなかった。捉えた打球は左中間スタンドへ飛び込んだ。

　今季、史上初の首位打者とトリプルスリーを同時に達成した柳田。シーズン終盤のロッテ戦で左膝裏に受けた死球と、CSに向けた練習中に痛めた首痛の影響で、出場すら危ぶまれていた。中間に行われた紅白戦にわずか1試合出ただけ。実戦勘の不足も懸念されていたのだが、ここ一番で相手に行きかけた流れを、引き戻す値千金の一打だった。

　ロッテサイドとしては短期決戦を制すためには、柳田封じは必要不可欠。死球の残像を生かすためにも、内角をえぐりたかったところだろう。この時、捕手の田村の構えはインコース。大嶺祐が投げきれなかったことが誤算だったに違いない。

　この1球、この1発。ソフトバンクの工藤公康監督は「同点ホームランが大きかった。チームに勇気を与えた」と振り返った。