2人の甲子園優勝投手 東海大相模の小笠原、吉田が描く夢の続き
プロでの夢はお互いに「2人で投げ合いをすること」
――小笠原慎之助というライバルの存在は?
「高校3年間でどんなときも一緒に練習もして、試合もした。次はトップのプロの世界に行く。2人で投げ合ってきたけど、敵チームとなって1対1の真剣勝負をいつかできたらいいと思います。本当に横にスゴイ投手がいたので、今までの分をしっかりと返せるよう、次は結果で小笠原よりも上にいけるよう、精一杯、自分は頑張っていくだけだと思います」
――東海大相模で学んだ3年はどんな時間だった?
「練習試合も、公式戦でも相手が強く、恵まれた環境で過ごした3年間だった。次のステージでもこの経験生かしたい。高校生のときは甲子園で優勝という最高の結果だった。次のステージでも一番上の目標に行けるよう一から頑張っていきたい」
――高校2年の時は夏の県予選で20奪三振という記録を作った。しかし、その後は伸び悩む時期もあったが?
「この3年間でいろんな経験ができた。調子が良いときも悪いときも、チームがどうすれば勝てるかを考えた。3年間身に染みて分かった。悪かったらこうしないといけないと分かった。安定して結果が出せるように上の世界でもやっていけるように頑張ります」
同学年でしのぎを削ってきた2人は、2年時は吉田が目立ったが、新チームでエースナンバーをつけたのは小笠原だった。決勝戦のマウンドも背番号1が最後まで守った。甲子園が終わった後、吉田は「小笠原にいいところを持っていかれてしまった」と惜しさをにじませていた。
門馬監督は「吉田は入団当初から非常に能力が高くて、小笠原よりも早くその能力を発揮した。その後の苦しみが野球人生に生きてくると思う。これから大きな伸びしろがあると私は思っています」という。
結果的にドラフト1位と5位。指名が当然のようだったエース小笠原と、不安で仕方がなかった吉田の姿が印象的だった。存在を認め合い、高いレベルで競ってきた2人は、甲子園制覇という大きな夢をかなえた。次の夢は「2人で投げ合いをすること」と声をそろえた。両投手の戦いはまだ続いていく。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count