何度も這い上がってきた巨人・堂上剛裕 戦力外から見せた“必然”の復活劇

チームに受け入れられた人柄と地道な努力、「サポートしてあげたい気持ちになる」

 1日1日を大切に過ごし、リハビリを続けた。不屈の男は実戦復帰初戦でいきなり結果を出す。4月24日のプロアマ交流戦で第1打席でセンターへ特大のホームラン。打力が戻ったことを実感した。5月12日には待ちわびた巨人での初1軍昇格が巡ってきた。原監督は本拠地の広島戦ですぐにスタメン起用。1点ビハインドの7回1アウト一塁。エース前田から同点となる二塁打をかっとばし、その後、勝ち越しのホームを踏んだ。

 逆転勝利に貢献した男は「感謝の気持ちしかありません」と一言。クビを宣告されて拾ってくれた球団、ケガをしてもケアを毎日してくれたトレーナーたちへの思いが何度も頭をよぎった。その裏で、周囲の人間に「堂上の一生懸命さ、努力する姿を見ていれば、こちらもサポートしてあげたい気持ちになる」と言わしめるほど、その人柄はチームに受け入れられた。活躍は必然だったのかもしれない。

 8月のDeNA戦では満塁ホームランあり、勝負所の代打あり、好不調を繰り返しながらも、59試合に出場し、打率2割7分6厘、3本塁打、13打点を記録。来年も高橋由伸監督が務めていた左の代打のポジションを埋める働きが期待されている。

 現在は、シーズン終了後の秋季練習の守備で、右太ももを痛めてしまい、キャンプメンバーから惜しくも外れてしまっているが、苦境から這い上がる術は知っている。堂上は野球ができなくなるかもしれないという1年前の不安と、巨人に買われた感謝の気持ちを持っている。来季もパワーのあるバッティングでファンを魅了する姿を見たい。そして、いつもまでも一度、野球を奪われた選手たちの希望の星であってもらいたい。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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