明治神宮大会を制した古豪・高松商 エースのトラブル乗り越え掴んだ栄冠
公立勢16年ぶりVの裏で…大会中にエースを襲った体調不良
高松商が敦賀気比を破り、17日に幕を閉じた第46回明治神宮大会の高校の部。0-3の8回から2イニングで8点を奪う大逆転劇となった。第1回センバツ優勝校が公立勢16年ぶりとなる頂点に輝き、「古豪復活」として話題を呼んだが、実は大黒柱のエースを巡るドタバタを乗り越えて掴み取った栄冠でもあった。
決勝で5回途中から救援し、1失点の粘投で終盤の逆転劇を呼んだ背番号1の浦大輝。試合後は「打たせて取って打線にいいリズムを持って来られたかな」と振り返ったが、そう話す額にはうっすらと脂汗が滲んでいた。
体調不良を押しての力投だった。時を遡って2日前。2失点完投した15日の札幌第一戦後、異変を感じた。「頭が痛くて、ヤバいなと思った」。体温は37.8度。だが、決勝まで3連戦の日程で準決勝が翌日に控えていた。「寝たら治る」と信じて床に就いたが、思うように回復はしなかった。
原因不明のウイルス性腸炎で腹痛に襲われた。準決勝のメンバー交換の30分前、結局“ギブアップ”する形で登板回避が決まった。相手は今大会のV候補の一角・大阪桐蔭。しかし、絶対的なピンチで、ナインが奮起した。
打線が12安打で7得点と畳みかけ、投げては公式戦わずか2度目の登板という背番号10の多田宗太郎が8回途中6失点の力投。長尾健司監督が「10回……いや、20回やって1回勝てるかどうかだった」と振り返る、まさかの大番狂わせを演じた。