試行錯誤の連続だった巨人・高木勇人 1年目で見せた躍進とその後の苦悩
当初は中継ぎの可能性も先発起用、開幕5連勝をマークしたルーキー右腕
「僕は僕です」――。
名セリフをお立ち台で残し、一躍、巨人の人気選手になった新人の高木勇人投手。ドラフト3位で三菱重工名古屋から入団。長くドラフト指名漏れがあったが、プロへの道が開け、1年目の今季は9勝10敗で終えた。
開幕ローテーションの投手で唯一、シーズン最後まで外れることはなかったことは高く評価できる。「すべてにおいてレベルアップしないといけない」と宮崎秋季キャンプでは投げ込みとランニング、下半身強化で来季へ向けて動き出していた。
入団当初は中継ぎ起用が検討されていた。しかし、春のキャンプでキレのあるカットボールを見た原辰徳前監督が、力強い直球と鋭く変化するカットボールを使い分ける器用さに先発としての適性能力を見出した。社会人時代にリリーフが多かったが、本人も原監督にどちらをやりたいか問われると「先発をしたいです」と即答。先発としての挑戦が始まった。
オープン戦はまず短いイニングでの登板だったが、少しずつ回数を伸ばしていった。怖いものがない新人はどんどん攻めて、相手打線を封じ込んでいった。3月の10日過ぎにはローテ入りが決まり、6人いた開幕ローテ投手の中で一番最初に登板する試合が決まったという。それだけ安定感があった。