打撃も守備も自分流のこだわり 現役引退の井端が見せた引き際のプライド
天性の右打ちを見せ、守備職人としても活躍、指導者としても期待が集まる
そのような境地にたどりついたのは、自分の役割やスタイルを常に意識してきたからだろう。中日時代から「もちろん、本塁打を打ちたい。ずっとヒットを打っていたい。でも毎打席それをやるのは無理だから、狙い球が来るまでファウルで逃げる。(四球で出塁することは)それを粘ってやってきた結果です」と話していた。ファウルや出塁することへの意識を第一に置いた結果の、天性の右打ちだった。
バッティングだけでなく、守備も超一流。少年野球などで「基本」とされる、左足を前に出し、その足の付近でキャッチするような内野ゴロの捕球動作も「基本ってなんでしょうね。僕にとって、それは基本ではないと思うこともある」と話し、反対の右足付近で取り、自分がスローイングしやすい形を作った。枠にとらわれない捕球体勢や守備位置が守備職人の名を広めていく一つの要因となった。
技術の面でも強いこだわりやプライドが井端にはあった。巨人の新体制ではノックバットを持って、コーチ業に励んでいる。将来の主砲候補の岡本を打って、守れる三塁手に育るのもその腕にかかっている。指導者として新たな一歩を踏み出した40歳。一流のプライドを持って、育成に力を注いでいくに違いない。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count