代打の「職人」日ハム矢野、周囲も目を見張る「準備」と勝負強さの「原点」

矢野が見せる日々の「準備」、移籍前は代打の切り札として巨人の黄金期支える

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矢野謙次のこれまでの成績

 ベンチ前にはきれいにバットと打撃用グローブ、スパイクが並べられていた。矢野謙次の野球道具だった。

 丁寧に磨かれたその武器たちは、今か今かと出番を待っていた。試合の勝負所で名前が呼ばれ、魂を揺さぶるようなヒッティングマーチが流れると、ライトスタンドのファンのボルテージは最高潮に達する。それが矢野の仕事の時間だった。

 男は与えられたチャンスでことごとく、勝負強さを発揮してきた。代打の切り札として、巨人の一時代を支えた。6月に須永とともに、矢貫、北の2対2の交換トレードで日本ハムに移籍した。

 矢野は「13年間育てていただき、巨人軍には感謝の気持ちでいっぱいです。ここで身につけた力をファイターズでも活かせるよう頑張ります」とコメントを残した。その瞬間、あの気迫あふれるプレーを巨人のユニホーム姿で見ることができなくなった。一報を聞き、ぽっかりと心に穴が空いたかのような気分となったファンもいたかもしれない。

 常に全力プレーでファンの心をつかんでいった。決して巨大戦力にも埋もれることなく、生え抜きの意地を見せ続けてきた。1、2軍を何度も行き来。納得しない理由での降格もあった。それでも逆境に屈せず、1軍に上がれば結果を残した。その姿が、矢野が愛された理由だろう。

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