マエケン争奪戦が本格化、ド軍は岩隈と両獲りも カージナルスの動向も注目
■本命候補に浮上する可能性があるカージナルス、6年総額104億円規模を予想する声も
そんな中、本命候補に浮上する可能性があるのはナ・リーグの常勝球団カージナルスだ。
今オフはレッドソックスと契約したデービッド・プライス投手の争奪戦に加わっていたとされ、先発投手の補強が急務。今季4年連続2桁勝利をマークしたランス・リン投手が右肘手術で来季絶望となり、カルロス・マルティネス投手も右肩痛で万全ではない。アダム・ウェインライト、マイケル・ワカの二枚看板に次ぐ3番手として、前田は適役と言える。
また、地元紙によると、チームはFAとなったジェーソン・ヘイワード外野手との再契約を優先する方針。他の同レベルのFA投手よりも比較的安い年俸で契約が見込める前田は魅力的な存在として、米Yahoo sportsは候補に挙げている。
また、前田にとってもカージナルスは異国の地で再出発を切るのに最適なチームかもしれない。カージナルスは伝統的に好投手を育てる土壌があり、本拠地も投手有利。また名捕手ヤディーナ・モリーナの存在も大きい。日本からメジャーに移籍した投手が苦労する事の一つに配球面での考え方の相違がある。メジャーでは打撃重視で起用される捕手が多い中、モリーナはリード面で投手を助ける場面も多く、これまでもルーキーをうまくサポートしてきた。投手のリーダー格のウェインライトをはじめ、チーム一丸の雰囲気は新人にとって活躍しやすい環境と言える。
また、ナ・リーグ中地区は球団の本拠を置く都市が近辺に集まっており、移動が楽なことで知られている。試合数の多いメジャーでは大きな負担軽減となり得る。
その他にもジャイアンツや岩隈争奪戦に敗れたマリナーズ、若い先発投手を加えたいヤンキースなど、複数球団が入札に加わることが確実視されている。では最終的に、前田は一体どれくらいの契約を手にするのか。Fangraphsは前田の成績とメジャーで活躍する同タイプの投手が手にした契約規模を照らし合わせ、6年総額8500万ドル(約104億5000万円)程度になるのではないかと予想している。
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伊武弘多●文 text by kouta Ibu