【小島啓民の目】侍ジャパン・小久保監督が受け継ぐ日本代表恩師の「金言」

「当たり前のことを当たり前にやれるチームに」

 世界野球「プレミア12」で侍ジャパン日本代表の指揮を執った小久保裕紀監督は国際大会の厳しさを味わう結果となった。準決勝の韓国戦。3-0の9回に4失点し、逆転負け。自身の継投ミスを認めた。過去、侍ジャパン・小久保監督のもとでヘッドコーチを務めた小島啓民氏は、采配への批判が多いことを十分に理解。その上で、現役時代、小久保監督とともに出場した1992年のバルセロナ五輪(銅メダル)の野球日本代表を率いた山中正竹氏の言葉を思い出したいう。上達を目指す上で、選手にはどのような意識が必要なのか。小島氏が、山中監督から小久保監督へと受け継がれている教えについて綴った。

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 プレミア12は残念な結果になってしまいました。小久保監督にとって初の公式戦の1敗でした。これを糧にして、スタッフの間でこのトーナメントをしっかりと総括してWBCに向かっていただきたい。今回の日本の野球は全勝優勝を目指して圧倒して勝つという野球をやっているように感じました。国際大会では大会を勝ち抜くことを最大のテーマにするべきであり、そういった面では大会を通じた戦略の甘さはあったように見えます。

 ただ、私は3位決定戦についても注視しておりました。準決勝の韓国戦に敗戦した翌日。3位決定戦に臨む前に、小久保監督は「3位を死守するという強い気持ちを持って戦う」と伝え聞きました。私が27歳、小久保監督が20歳の時に戦ったバルセロナオリンピック。準決勝で台湾に敗れ、3位決定戦に臨みました。その時のことを思い浮かべたという記事も後に拝見しました。優勝を目指しながら3位となり、結果こそ出ませんでしたが、最後まで手を抜くことはなかった。WBCに向け、小久保監督自身、真剣勝負となる国際大会での経験を活かして、チーム作りを非常に上手くやっているのではないかなと感じています。

 2012年に小久保ジャパンで訪れた台湾での親善試合の試合前ミーティングで、コーチだった私の隣で小久保監督が「一塁までの全力疾走やイニング間のダッシュでの交代など、当たり前のことを当たり前にやれるチームになろう。それから、国際試合では、環境の変化、文化の違いなどで何が起きるか分からない。したがって、精神的、体力的にもたくましい選手になって欲しい」と選手に話をしていました。

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