番狂わせあり、大逆転あり、死闘あり―「名勝負」で振り返る2015年アマ球界
夏の甲子園でも光った名勝負、快進撃もあと一歩で頂点逃した高校日本代表…
○夏の甲子園3回戦・関東第一 1x-0 中京大中京
好選手がワザで魅せるという意味では、オコエ瑠偉を擁する関東第一と上野翔太郎を擁する中京大中京のマッチアップは、名勝負と呼ぶべきものだった。初回2死満塁の守備で関東第一の中堅手・オコエが背走しながら追いつき、スーパーキャッチ。それでも、中京大中京のエース・上野は一歩も引かずに無失点の力投。9回にサヨナラ弾を浴びて涙をのんだが、名勝負を演出した2人は大会後に高校日本代表の一員として競演を果たした。
○夏の甲子園決勝・東海大相模 10-6 仙台育英
夏の甲子園ファイナルは、全国3906校の頂点を決めるにふさわしい試合だった。東北勢悲願の初Vを狙う仙台育英は最大4点差を追いついた。対する東海大相模は6-6で迎えた9回にエース・小笠原慎之介がまさかの決勝アーチ。これが、大会史上初となる決勝での投手によるV弾となった。投げても6失点で完投した。高校野球100年の夏の幕切れは、これ以上ない劇的なものとなった。
○U-18W杯決勝・アメリカ 2-1 日本
この夏、日本開催されて大きな話題を集めたU-18W杯。高校日本代表チームは小笠原慎之介、高橋純平、平沢大河、オコエ瑠偉、清宮幸太郎らタレントを擁し、1次ラウンドから無傷の8連勝で決勝に進出した。しかし、決勝では1次ラウンドで下していたアメリカに苦戦。佐藤世那が先発し、上野翔太郎と日本が誇る強力投手陣で継投したが、最後まで1点が遠く、初の世界一はわずかに届かず。それでも、日本の高校球児が一つになり、世界と戦った姿は大きな感動を呼んだ。
○明治神宮野球大会決勝・亜大 2-1 早大(延長14回)
アマチュア野球の2015年シーズン締めくくりの一戦は、大会史に残る激闘となった。1-1のまま延長戦に突入。早大は13回に1死一、三塁の好機をつくり、春秋日本一に手をかけたが、ここでまさかの併殺に。直後の14回、亜大は相手投手の暴投で決勝点が転がり込んだ。ともにリーグ戦では神宮を本拠地とする者同士。試合は両校にとどまらず、大学野球をけん引する東京六大学と東都大学の意地と意地のぶつかり合いのようだった。
ここに選んだのは、全国大会を中心にしたものであり、ファンの中にはそれぞれに感動、あるいは興奮した名勝負があることだろう。今はそんな試合を見せてくれた選手たちに感謝の拍手を送りつつ、来年も私たちの心を打つ名勝負を見せてくれることを期待したい。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count