野球選手の未来守るため―肘の故障防止へ、東北福祉大で行われた取り組み
選手も好感触、「現実を知るのは怖いけど、こういう機会はいい」
エコー検査では、気仙沼市立病院の高橋博之医師が、利き腕の右腕が伸びきらない投手に画像を見せながら「投げていない左肘よりも、(右肘は)ボコボコしていて、靭帯が厚くなっているでしょ」などと説明する場面も見られた。「肘の外側はきれいな選手が多かったのですが、内側はいろんなタイプがいましたね。野球ができないほど、ひどい状態の選手はいませんでした」と高橋医師は全体の印象を語った。
エコー検査後の診察を行った東北労災病院の黒川大介医師は「高校生のレベルだと困らないパフォーマンスはできるけど、大学生だと困るだろうなという選手は何人かいました。それでも、大学生は自分の体を動かす能力が高いので、話したら分かってくれる。コツ(体の使い方)を覚えれば伸びる選手はたくさんいると思います」と話した。
昨シーズン、右肘痛に悩まされた城間竜兵投手(3年・光星学院高出身)は「病院に通っていた時よりも良くなっていると言われた」と安堵。空いている時間には、チームメートと筋力チェックの数値を見せ合うなどしており、「チームメートと(検診を)やることで他人(ひと)の体のことも分かることができる。いい機会になりました」と話した。
宮城県で大学生が野球検診を受けたのは初めて。波多野陽介投手(3年・日本文理高出身)は「現実を知るのは怖いけど、こういう機会はいいですよね。体の現状を知ることができる。先生方には、わざわざ来ていただいて、ありがたいと思います」と感謝した。