野球選手の未来守るため―肘の故障防止へ、東北福祉大で行われた取り組み
野球選手、野球少年たちの未来を守るために
検査の後には、公立黒川病院の作業療法士・松岡俊介氏による体幹トレーニングやウエイトトレーニングの指導も行われ、選手からは「ウエイトでの姿勢を確かめることができたので、取り入れてやっていきたい」といった声が聞かれた。黒川医師は選手たちに「野球のどういう動作のために鍛えているのかをイメージしてトレーニングをした方がいい。動きを妨げるトレーニングになるとパフォーマンスは下がってしまう。筋トレはどうプレーにつながるかが大事」と話した。
今後は宮城県内の7つの高校の選手や100名以上の中学生を対象にも実施される。例年通り、楽天のベースボールスクールでも行われることになっている。
黒川医師によれば、医療側が野球現場に介入することで障害の発生率が下がっているという。医療側は野球現場に歩み寄り、こうした野球検診やシンポジウムを開催するなどして障害や予防への理解を求めている。
ただ、医療側の活動や発信が当たり前となるのではなく、野球現場から歩み寄っていくことも大切だ。双方が手を取り合うことで、障害を早期発見したり、未然に防いだりして、野球選手、野球少年たちの未来が守られる可能性は高くなる。
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高橋昌江●文 text by Masae Takahashi