過去には日本人選手も“標的”に ヤ軍加入の守護神にNYメディアの洗礼
格好のネタを見つけたらとことん追究
「みんながその問題を気にしているのは分かるし、みんなが知りたいのも分かる。でも、出場停止になるか否かは自分が決めることじゃない。自分はただ野球に専念するだけ。順調な仕上がりだ。ここ(ヤンキース)にいられて幸せだし、早くシーズンが始まるのが待ちきれないよ」
ここでようやく本来の野球に関する質問が2つほど出たが、それはあくまでおまけのようなもの。悪評を引っさげてやってきた新入りは、歓迎の意も示されないままに、ニューヨーク・メディアの洗礼を浴びることになった。
選手に好かれようが嫌われようが構わない。格好のネタを見つけたら、野球そのものに関わる話題は後回しにしても、とことん追究し続ける。そんなニューヨーク・メディアのスタイルは、時には行きすぎているように思えることもあるが、実はジャーナリストとしてあるべき姿なのかもしれない。
チャップマンに洗礼を浴びせたニューヨーク・メディアは、その2日後の20日、メジャーリーグ機構の判断によりチャップマンがスプリングトレーニングから閉め出される可能性があると伝えた。
白黒決着がつくまで突き進むメディアの執着に、チャップマンは何よりも怖さを感じているかもしれない。
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佐藤直子●文 text by Naoko Sato
佐藤直子 プロフィール
群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。