失敗から始まった野球人生― DeNAドラ2右腕は“ただでは転ばない”

いつも失敗から成長してきた男

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熊原は高く上げてから投げる独特のフォームを試行錯誤して体得【写真:高橋昌江】

 ピッチングに関しては物凄く考える投手だった。左足を一塁側に引いてセットし、高く上げてから投げる独特のフォームも試行錯誤して体得したものだ。フォークやスライダーも必要に応じて考えて習得。大学入試の面接時には(1)155キロを投げる、(2)リーグの盟主・東北福祉大を倒す、(3)プロに行くと“3つの誓い”を志望理由として話したのだが、それも合格を手にするための作戦として練ったものだ。どうすれば自分の目指すゴールにたどり着けるかを考えるということに関しては長けていたように思う。

 それがプロのトレーナーの指導もあり、基本的な動きに関しても考えるようになっていた。1軍キャンプに抜擢はされていたため、ブルペンのボールと考え方の幅が広がっていたことで、今季の楽しみが増えたと感じた。

 キャンプでは、15日にプロ入り初のシート打撃に登板すると打者8人に投げ、打たれたヒットは1本と好投した。そして、17日の韓国KIAとの練習試合。ドラフト1位・今永昇太が3回1安打無失点と好投を見せた一方で、熊原は2イニングで3失点。4回にはセットポジションで静止せず、5回にはワインドアップで静止して、ボークを2度も取られ「ホロ苦デビュー」と報じられた。

 しかし、熊原はいつも失敗から成長してきた男だ。

 大学1年の冬、仙台大・森本吉謙監督はブルペンで投げる熊原を見て驚いたという。高校時代の荒削りな部分を知っている指揮官は、この時の急速、回転数の多い球質を見て熊原の可能性を感じた。2年春のキャンプでは、主戦を担う先輩投手にも負けず劣らず。オープン戦で投げればまず打たれなかった。そこで、森本監督は2年春のリーグ戦開幕投手に抜擢した。

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