史上3校目の春連覇へ 敦賀気比のエースが乗り越える壁

過去の春連覇は2校、右腕は史上3校目の快挙へと導けるか

 林中勇輝内野手ら甲子園Vメンバーが残る新チームは昨秋の福井大会で5試合中4試合で相手を零封するなと圧勝。北信越大会も富山商、佐久長聖らを倒し、制した。向かうところ敵なしと思われた。しかしセンバツへ弾みをつけたかった明治神宮大会。決勝の高松商業戦。山崎は7回まで相手を無得点に抑えるピッチング。3-0とリードしていた。悪夢は8、9回に訪れた。

 気を抜いたわけではなかったが、試合後、「勝ちを意識してしまった」と振り返った右腕。気持ちの変化が投球にスキを与えた。四球からリズムを崩し、バント処理のミス、鉄壁だった野手にもエラーが出て、8、9回になんと8失点。集中打を浴びせられ、余裕がなくなった。

 技術は一級品でも、メンタルの弱さが顔を出してしまった。敦賀気比は準優勝に終わった。

 あの敗戦から、最後までアウトを取ることの重要性とメンタル強化の大事さを学んだ。優勝は惜しくも逃したが、山崎にとってはそれ以上に大きなものを手にしたのかもしれない。

 今春のセンバツで1929年、30年の第一神港商業(兵庫)、1981、82年のPL学園(大阪)以来、史上3校目となる春連覇を目指す敦賀気比。そのエースとして、一回り大きくなって甲子園の舞台に立つ。初めての先発マウンドへ――。成長した山崎の投球に注目したい。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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