潮崎コーチも「風格感じた」菊池雄星、変貌遂げる左腕は今年何が違う?
着々と積み上げてきた自信、「『幸せだなぁ』と思いながら投げていました」
開幕投手を通達されてから約1か月半、“この日”を目指して調整を続けてきた。14年秋キャンプから土肥義弘投手コーチと取り組んできた投球フォームがようやく本格的に固まりつつある。これまでは、一度良くても、それを継続できないことが結果につながらない最大の原因とされてきた。だが、オープン戦でフォームのバランスを崩すことなく、常に安定した投球をみせた。そこで、はっきりとした手応えと自信をつけたことが、大きかったに違いない。
元々、ボールそのものには、田邊徳雄監督をはじめとした首脳陣、そして女房役を務める捕手・炭谷銀仁朗が開幕前から「問題ない」と太鼓判を押していたが、一方で、全員が口を揃えていた懸念材料が「緊張しすぎて、自分をコントロールできなくなる」ことだった。だが、蓋を開けてみれば、杞憂に終わった
「変な緊張もしなかったですし、『幸せだなぁ』と思いながら投げていました。1球1球への歓声がすごくて、本当に気持ちよく、楽しめました。『またやりないなぁ』と思いました」
着々と積み上げてきた自信が不安を消し去り、緊張よりも快感をもたらしたのだろう。選ばれし者にしか味わうことのできない悦びの極致を、24歳にして経験することができた。
そんな境地の中で奮投する次期エース候補の姿に、潮崎ヘッドコーチは「風格を感じた」という。