引退3年目、辻内崇伸の今 いまだボロボロの左肩、それでも「後悔ない」
第2の野球人生で思い描いている夢は?
「小谷さんは『教えるだけが指導者じゃない』と、よく言っていました。見ることが大事だ、と。小谷さんは選手にあまり言わないんです。それは今コーチになって、大事だなとつくづく思いますね。やっぱり、自分の感覚が絶対に大切。言われたらできるけど、言われなかったらできないでは絶対にダメ。今頃になって、あの時はこういうことを言ってたんだな、って納得することが多いです」
かつて甲子園を沸かせた男は、プロ野球選手としては大成できなかった。だが今は指導者として、試行錯誤しながら自らの理想像に突き進んでいる。そして、その先に大きな夢を抱いている。
「今は色んな指導の仕方ができるようになりたいです。同じトレーニングをやっても、伸び方は人によって違うじゃないですか。この子にはこの引き出しで教えよう、あの子にはこうしようとか。最近、人を育てるのって、面白いなと思うようになってきました。目標は女子野球の悲願でもある130キロを出せる選手を作ること。そのためには、僕も選手以上にもっともっとコーチとして勉強します」
辻内崇伸、28歳。第2の野球人生はまだ始まったばかりだ。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count