もう神宮を「鬼門」とは呼ばせない 巨人・菅野が直視した現実
今季は打撃への意識も変化、4試合で打率は5割5分6厘
オープン戦でも、首脳陣は苦手のヤクルト戦に菅野を登板させた。開幕前ながら、捕手の小林誠もスコアラーと徹底的に話し合い、昨年、弱かった部分は克服されているのか、狙い球をどのようにしてくるのかを探った。キャンプから好調だった菅野はワンシームを試すなど、球種を隠さずに挑んだ。
逃げなかったことが、相手を迷わせる要素にもなった。今年の菅野は違うと思い込ませた。バッテリーは13日の試合で相性の悪かった川端を無安打、山田には1安打を許したものの3打席は抑えるなど、封じた。外への制球にほとんど狂いはなく、カーブの使い方も絶妙だった。それを最後まで徹底できていた。
ヒーローインタビューの言葉にもあったように「何かが起こる」ということも常に想定する投球。味方が初回にエラーしても動じず、自分が抑えればいいと冷静だった。
リードは1点でもほしいと思い、自分のバットで得点をマークした。昨年は53打数4安打で打率0割7分5厘。「来年は打撃への意識も高めていきたい」と考えていた。見つめ直した打撃で自分を助けた。今年は9打数で5安打、4試合で5割5分6厘という高打率。昨季のヒット数を超えた。
かつて斎藤雅樹や桑田真澄といったエースは打撃も素晴らしかった。どこが相手でも投げ勝ってくれる。それも最後までマウンドに立ち続けてくれるという期待があった。菅野の今年のマウンドには、その姿が重なって見える。真摯に現実を受け止めた結果が、菅野の進化を手助けした。もう「鬼門」とは言わせない。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count