日米で負傷経験の岩村明憲、球界で進む危険交錯プレー禁止をどう見る?
危険軽減も減りつつある野球の醍醐味、忘れられない「レーザーかいくぐる快感」
2011年に日本球界に復帰し、楽天入りした岩村氏は、本塁での交錯プレーで炭谷銀仁朗(西武)と衝突し、肋骨を折る怪我も経験している。1点を争う試合展開の中では、本塁上での間一髪を争うプレーこそ、ファンが惹きつけられるものだが……。
「俺もホームベースをブロックした炭谷のヒザが入って、あばらを骨折した経験があるけど、それでもホームでの交錯プレーが100パーセント悪いとは思わない。本当に難しいところで、100パーセント否定もできないし、肯定もできない。あのプレーをすべて取り締まってしまうと、多分お客さんが見ていて面白くないと思うんだ。醍醐味がなくなる部分だと思う。最終的には、野球を見ているファンがどう思うかっていうのは考えた方がいいのかもしれない。
今年から採用されたコリジョンルールも、タックルだけ禁止にすればいいと思うんだよね。危ないんだから。アメフトじゃないから、タックルは避けられない。ただ、今こういうルールがある以上は、守る側も走者もお互いにかわすための技術を上げる必要があるよね。キャッチャーは走者をかわす。ランナーは、ブロックをかいくぐってのスライディング。ベースを回り込むのって、見ていてすごく楽しいと思う。俺も、2007年に1回だけイチさん(イチロー)のレーザービームをかいくぐったことがあるんだ。二塁走者で、ライト前のヒットでホームまで戻った時にね。あれはうれしかったよ。勝ったぞって思ったからね(笑)」
ファンを惹きつける面白さを失わずに、いかに選手の安全を確保していくか。野球が発展し続ける上で、これから長く付き合っていかなければならない課題なのかもしれない。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count