自らの手で掴みとった1軍初先発 西武佐藤、投手陣の救世主に
地元福島から最も近いKoboスタ宮城での登板には「本当に感謝」
そして、4月23日に待望の1軍昇格を果たすと、いずれもビハインドの場面とはいえ、中継ぎとして3試合に登板し、信頼を得た。一歩ずつ段階を経ながら、自らの手で掴み取った1軍先発だった。
その自身の記念すべき舞台を、地元福島県から最も近いスタジアム「Koboスタ宮城」で迎えさせてもらえた計らいに、試合前「本当に感謝です」と話していた佐藤。結果として、白星で飾ることはできなかったが、5歳の時に父親が他界して以来、ひとりで育ててくれた最愛の母親、地元の友人たちの目の前で『プロ野球選手・佐藤勇』の姿を見せられたことは、互いにとって今後の大きな糧となったに違いない。
一方で、チームにとっては痛い敗戦となった。「フォアボールでランナーをためた点は反省です」と本人もコメントしたように、2軍時からの制球力の課題が、やはり顔を出した。特にこの試合では変化球のコントロールに苦しんだ。
ただ、4番ウィーラーから空振り三振を奪うなど、球威ある直球は、今後への期待を抱かせた。エース岸孝之の負傷長期離脱、昨季チーム最多勝投手・十亀剣の不調など、柱が据わらない先発陣の中で救世主となれるか。「今年こそ1軍に行かないと…」。早くも危機感すら口にしていた4年目左腕の台頭を、心から期待したい。
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上岡真里江●文 text by Marie Kamioka