元G辻内崇伸氏、選手指導への思い「現役に後悔ある分、バンバン言ってる」
昨季“勝率10割”も「監督の重みには耐えられない」
――その中でも最も影響を受けた人は誰ですか?
「やっぱり小谷正勝さん(2005~11年に巨人2軍投手コーチ、現ロッテ2軍投手コーチ)ですね。『教えるだけが指導者じゃない』とよく言ってました。見ることが大事だ、と。あの人はあまり選手に言わないんです。それは指導者になってみて、大事だなとつくづく思いますね。やっぱり自分の感覚は絶対に大切。『言われたらできるけど、言われなかったらできない』では絶対にダメですから」
――現役の時に言われていたことが、今になって分かることって多いですか?
「本当にそうですね。今、選手たちに言っていて『ああ、こういうことを言っていたんだな』と納得することが多いですね。やっぱり指導者はよく見ているし、すごい勉強している。でもやっている方は、言われたことに対して、自分の中で葛藤があって、色んなものが邪魔して素直に聞けないんですけどね。でも、現役の時に後悔がある分、選手たちにはバンバン言っています。絶対にトレーニングは欠かさずにやれって」
――昨年所属していた埼玉アストライアでは、監督代行を経験したそうですね。将来的に監督はやってみたいですか?
「監督代行として2試合やったんですけど、両方勝ちました。勝率10割です(笑)。でも、監督は向いてないですね。自分で決めなきゃいけないという重みが嫌なんです。あの重みには耐えられない。コーチで選手をいじめるほうが好きですね(笑)」
――指導者しての理想像はどのように描いていますか?
「せっかくコーチをやっているので、選手に合った色んな指導の仕方ができるようになりたいですね。この選手にはこういう引き出しで教えるとか、あの選手にはこうしようとか。今教えていて、指導の仕方も、掛けてあげる言葉やタイミングも、選手によって変えなきゃいけないなと痛感しています。でも、それが面白いなと思うようになってきました。最初は自分のことで精いっぱいでしたが、今は選手を教えたい、育てたいと思うようになりました。まずは女子プロ野球に携わっているものとして、1人でも多くの選手を育てたいですね」
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count