阪神原口は将来「恐ろしいキャッチャー」に!? 現時点での課題は何か

育成から正捕手の座を奪った24歳、「堂々と野球がやれているのは大きなプラス」

 多くの若手が活躍する今季の阪神で、ひときわ強烈な輝きを放つ選手がいる。24歳の苦労人、原口文仁捕手だ。今季途中に支配下選手に再登録されると、すぐに1軍昇格を果たし、プロ入り7年目でデビュー。堂々たるプレーで正捕手の座を奪取してからは扇の要にどっしりと座り、打撃では一時クリーンアップを任されるなど32試合で打率.343、5本塁打、19打点をマークしている。

 すでにチームに欠かせない存在となっていることは間違いないが、一方で盗塁阻止率はリーグワースト2位の.194(最下位はDeNA戸柱の.118、1位は巨人小林誠の.400)。まだ1軍デビューから間もないだけに、課題も山積だ。裏を返せば、これから更に大きく成長する可能性も秘めていると言えるだろう。

 現役時代にヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーした野球解説者の野口寿浩氏は「間違いなく素材は良い」と評価する。特に、デビュー当時から原口の精神力の強さには強い印象を受けたという。

「堂々と野球がやれているというのは、まずは大きなプラス。あれだけ急に1軍に上がってきて、絶対に緊張するはずなのに、それを感じさせない。彼が初スタメンだった試合(4月29日・DeNA戦)も私は甲子園で解説していたのですが、その時にそう思いました。内心はバクバクいってるはずですが、それを微塵にも見せない。そういう資質は大したものです。

 ベテランキャッチャーがマスクを被っているようにすら見えます。(DeNAのルーキー)戸柱も落ち着いていますが、開幕直後にバタバタしている時がありました。でも、原口は支配下に上がってきて、いきなりよくあれだけできるなと」

 堂々としたプレーぶりに加え、打撃の良さは、数字を見れば明らかだ。野口氏は「元々、バッティングはすごく評価されていた選手ですからね。周り(の阪神の野手)が打てないですし、今の状態だと外せない選手になりました。打線に打率3割超がほとんどいない中で、3割4分3厘の原口は外せない」と指摘。一方で、リード面では課題も見られるという。「外せない選手」だからこそ「本当に原口がそういうところ(リード面)を覚えてくれないと、阪神は困る状態になってきた。実戦の中で、いろんなことを覚えていかないといけない」と言う。

 では、現時点で原口のリードに足りないものは何なのか。野口氏は「最たる例」として5月24~26日のヤクルト戦(神宮)を挙げ、問題点を提示した。この3連戦で、阪神は初戦を取ったものの、残りの2試合はバレンティンに計3本塁打を許し、連敗で1勝2敗と負け越した。

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