パ・リーグもメジャーも進める海外進出
サッカー王国ブラジルにもジワリと広がる野球人気
次世代育成のために実際アカデミーを作ることもあれば、2013年のシーズンオフには現役選手7人をさまざまな国へアンバサダーとして派遣し、各国で指導を行った。オランダ、フランス、中国、南アフリカ、ブラジル、オーストラリア、ニュージーランドに選手たちが出向き、それぞれが指導をした。その中にはニューヨーク・メッツ所属のカーティス・グランダーソンやピッツバーグ・パイレーツの抑えを務めるマーク・メランソンなどの有力選手も含まれていた。
「サッカー王国」であるブラジルでも、2009年にはタンパベイ・レイズがメジャー球団としては初となるアカデミーへの投資を発表した。2010年にはメジャーがナショナルトレーニングセンターを創設したことで、野球人口も少しずつではあるが増えていった。そしてブラジル人初のメジャーリーガー、ヤン・ゴームズが2012年にトロント・ブルージェイズでデビューし、ブラジル代表として2013年WBCでパナマを破るなど、一気に躍進している。
ブラジルでは野球中継も増え、2015年時点では週に8試合ほどが放映されており、視聴率も2012年に比べる2倍に膨れ上がったという数字も出ていた。
さらに、南アフリカやブラジルだけでなく、世界各地で野球普及活動を広げていくことで、メジャーというブランドも同時に浸透させてきている。活動する国で子供たちが野球に触れ、興味を持てば、自然とメジャー人気が高まる。すると、グッズは売れ、需要が増えれば放映権料アップにも繋がってくる。その結果、メジャーの舞台を目指す子供たちが世界から集結し、今シーズン開幕時には約30%がアメリカ国外生まれの選手が集うリーグにまでなったのだろう。この数字はマイナーリーガーも含めると、さらに増すはずだ。