「ベースボールの日」に魅せた日本野球 四国IL選抜が北米遠征5勝5敗でカナダへ

18歳・古川が期待に応える一打

 1球ごとに打席を外し、自分の間合いを作りにいく打者には早めにセットに入り、逆にすぐに構える打者には、セットからの時間を長く持つことでこれもタイミングを作らせない。なおかつバックへのストレスも軽減させるべく、捕手からボールを受けてから投球態勢に入るまでのメリハリも取る。

 7回で被安打6・計8奪三振を奪ったストレートの球質や制球力もさることながら、この投球テンポの取り方は彼自身が今後四国アイランドリーグplus後期、さらにNPB上位指名を狙う上でも大きな指針となったに違いない。

 かくして迎えた8回表。カブキJAPANは最高の「KABUKI SPIRITS!」で魅せる。主将の6番・宗雪将司(香川オリーブガイナーズ)の四球と加藤の死球で得た2死一、二塁の同点チャンス。慌ててロックランド・ボールダーズがここまで自責点0の守護神Neloを投入すると、中島輝士監督が左打席に代打として送り込んだのはなんとこれまで出場3試合に留まっている18歳・古川大珠(香川オリーブガイナーズ)。アメリカ・ラウンド最終戦、歌舞伎で言えばいよいよ観客の目が舞台に集まる時間帯で指揮官自らが「大見得」を切ったのである。

 ただ、前日にも安打を放っている次世代を担う若き才能、古川大珠はその大見得に見事応えた。迷いなくストレートを振り切った打球は二塁手の横を抜ける同点適時打。盛り上がる三塁側ベンチ。そしてホストファミリーを含め多くの日本人が詰めかけた三塁側スタンド。さあ、あとは大団円目指して突き進むのみである。

 8回裏は左腕のバレット・フィリップス(高知ファイティングドッグス)、9回裏は岸本淳希(香川オリーブガイナーズ)が無失点に抑えると、10回表には先頭の宗雪が北米遠征初マルチとなるライト線二塁打。宗雪は続く加藤の右飛で判断よく三塁を陥れる。

 3イニング目に入り疲労を隠せないロックランド・ボールダーズの「勝利の方程式」Nelo。この時点で流れは完全に「カブキJAPAN」に傾いていた。ここでも北米遠征でヒットのなかった鶴田都貴(愛媛マンダリンパイレーツ)が自分の役割を果たす中犠飛(センター落球で自らも出塁)。彼らは理想的な形でついに勝ち越したのだ。

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